当社では、無電解めっきのパイオニア企業として半世紀余の歴史の中で培った技術をベースに、表面処理分野に関する新たなシーズを創出し、多種多様な市場ニーズに応えるべく、技術開発力の更なる強化に取り組んでいます。


導入事例

  1. 自動車部品(例 エンジンピストン、ブレーキピストン等)
    • 従来の硬質クロムめっきの代替処理として無電解ニッケルめっき処理が使用されています。
      熱処理後の無電解ニッケルめっき皮膜の硬度はHv900程度であり硬質クロムめっきに匹敵します。
      液種としてはNi-Pめっき液の他、耐摩耗性向上のため、カニボロン®(Ni-P-B)やカニフロン®(Ni-P-PTFE)なども使用されています。
  2. OA機器部品(例 各種シャフト部材)
    • 無電解ニッケルめっきは、アノード電極が不要であり、一度に多量の品物をめっき処理できるため、電気めっきに比べコスト低減が可能となります。
      製品としてアッセンブリーの際にゴムを取り付ける事例が多く、ゴムに含まれる硫黄成分による黒変を避けるため、液種として主に硫黄系添加剤を使用しないNi-Pめっき液(SE-666等)が使用されています。
  3. ハードディスク部品
    • ハードディスクのディスク面や、ケースや内部部品等に無電解ニッケルめっきが使われています。
      特にハードディスクの外装部品はアルミニウム系素材が多いため、硫黄系添加剤を使用したNi-Pタイプのめっき液が多く使用されています。
      最近では、RoHS規制対応商品として、鉛フリータイプのめっき液への切り替えが進展しています(SEK-670等)。
  4. 金型 (例 射出成型金型、Tダイス等)
    • プラスチック製品やガラス製品等の成型に用いられる金型は、精密なものになるとミクロン単位の精度が求められます。
      無電解ニッケルめっきは、均一な皮膜をミクロン単位で管理できるため、金型へのめっきに用いられています。
      また離型性向上の目的で、カニフロン(Ni-P-PTFE)が用いられることもあります。
  5. 工作機械・産業機械部品
    • 射出成型機や半導体製造装置など、ものづくりに欠かせない各種工作機械、産業機械にも無電解めっきが使われています。
      当社群馬工場では大型めっき槽を設置しているため、形状の大きな部品についても、カニゼンおよびカニボロン皮膜のめっき加工が可能です。
  6. 光学部品 (例 カメラ・レンズ部品等)
    • カメラやレンズなどの光学部品にも無電解ニッケルめっきが使用されています。
      Ni-Pめっきの他、摺動性を持たせるためにカニフロン®(Ni-P-PTFE)、また内面反射を抑制するために無光沢黒色皮膜であるカニブラック®(鉛フリー対応済み)などが使用されています。
  7. 電子部品
    • 電子部品分野では、無電解ニッケルめっき単独処理で完結するケースは少なく、目的に応じて特殊な前処理や金、パラジウム、銅など他のめっき皮膜との組み合わせを検討する必要があります。
      そのため、当社ではめっき液の開発だけでなくめっきプロセス全体の仕組みに重点を置いた技術開発に取り組んでいます。